DCON2023、世界の水産業が抱える課題を「ドローン×AI」で解決!大島商船高等専門学校が最優秀賞受賞

モンゴルからの参加チームも熱戦、ChatGPTを活用したアイデアも!

高専生が日頃培った〈ものづくりの技術〉と、AI(人工知能)分野で特に成果を出す技術〈ディープラーニング〉を活用した事業アイデアで、企業評価額を競うコンテスト「第4回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2023(以下、DCON2023)」の本選が4月28日(金)・29日(土)2日間に渡り開催。

企業評価額3億5千万円という評価を受け、大島商船高等専門学校 Smart Searcher 開発LABチームが、養殖魚を効率的に管理する事業アイデアで最優秀賞を受賞しました。優秀賞は企業評価額3億円という評価を受け、プラスチックが循環する社会を作るという目標に掲げた鳥羽商船高等学校ezaki-labチームが受賞。今年は、グローバルの共通課題への解決に挑むチームが多く見られました。

DCON2023の様子は、アーカイブを公開中!

「DCON2023」本選の模様は、JDLA公式YouTubeチャンネルで視聴可能です。

会場を大きく沸かせた、全10チームのプレゼンテーション

本選では、二度の予備審査を勝ち抜いた日本各地、そしてモンゴルから集まった高専生10チームが一堂に会し、高専生ならではのものづくりの技術と、ディープラーニングを活用した作品を事業化までを想定したプレゼンテーションを行い、企業評価額を競いあいました。

(優勝した大島商船高等専門学校 Smart Searcher 開発LABチーム)
(全チームの集合写真)

実行委員長として東京大学大学院教授 松尾豊氏、MCにタレント/ソフトウェアエンジニアの池澤あやかさん、音楽クリエイターのヒャダインさんほか審査員が、高専生に厳しくも温かい応援をしました。

モンゴルからの出場したチームは、作業安全服を正しく着ているかをチェックし、従業員の労働安全を守る作品をプレゼン、沼津の高専生はChatGPTを活用して保育士の負担を減らす作品をプレゼンするなど、ディープラーニングの力による様々な社会課題解決に目指したプレゼンテーションは、審査員を感心させ、大きく会場を沸かせました。

DCON2023 本選結果について

DCON2023では、「経済産業大臣賞」と「文部科学大臣賞」に加え、「農林水産大臣賞」も新設され、結果発表が行われました。

<最優秀賞>

大島商船高等専門学校
チーム名:Smart Searcher 開発LAB
作品名:Smart Searcher NEO 
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企業評価額:3億5000万円

作品概要:水中ドローンとAIで養殖場の魚を管理し、成長の遅い魚を選別して餌をあげるシステムです。均一的に魚を成長させて出荷することで損失を減らし、養殖ビジネスを支援します。

評価コメント:水産業は大きなマーケットであり強みでもあります。日本の水産業および世界の水産業を変えていけるという期待を込めた評価金額となりました。

<優秀賞>

鳥羽商船高等専門学校
チーム名:ezaki-lab
作品名:りぷら
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企業評価額:3億円

作品概要:「りぷら」はディープラーニングを活用したプラスチックの材質判別機を用いて、一般の方がゴミ分別、洗浄をすることでマテリアルリサイクルを推進します。これによりプラスチックが循環する社会を作ります。

評価コメント:循環型社会への流れとスマートフォンの技術進化という流れを認識して製品化した点と、特許を出願するというちゃんと商品にしようという意識も評価しました。

<3位>

一関工業工業専門学校
チーム名:suzukiLab
作品名:働く現場のWB monitor
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企業評価額:2億円

評価コメント:メンタルヘルスというデリケートな問題に切り込み、またチームの一体感や開発スピードもすばらしく、数字をきちんと追いかけた結果にピボット(方向転換)して開発を進めた点において、評価されました。

<経済産業大臣賞>

鳥羽商船高等専門学校
チーム名:ezaki-lab
作品名:りぷら 
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<農林水産大臣賞>

米子工業高等専門学校
チーム名:農作物まもルンジャー
作品名:「Crow Chaser」
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<文部科学大臣賞>

鳥羽商船高等専門学校
チーム名:Shiraishi lab
作品名:「深層学習を活用した温州みかん栽培支援システム「選果せんか?」」
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<企業賞>

各協賛企業による企業賞の表彰もありました。協賛企業からは以下のような評価コメントがありました。

  • 社会的意義の深い作品で、企業としても一緒に取り組んでいきたい。日本を変えていきたいという思いに共鳴した。
  • 高い技術力を駆使した作品で、カスタマイズ性についても良いと感じました。
  • 実用化の可能性が非常に高いと思った。
  • 新規性と独自性を感じた作品でした。既存の製品に比べ、小型化、低価格化をしている点に優位性があり、収益モデルも評価。

DCON2023本選 全チーム評価額

次回、DCON2024 開催に向けて

DCONは、年々注目を集め、出場チームはその期待に応えるかのように、高いレベルの作品が応募されています。一方で、企業側も高専生の持つエネルギーとその可能性に一層着目し、高専発の若い起業家への応援が熱を増しています。日本の経済成長のためには、イノベーションの担い手であるスタートアップ企業の活躍が欠かせません。DCONは引き続き、高専生の技術レベルの向上に貢献し、また「ディープラーニング×ハードウェア」を武器に世の中にイノベーションを起こす若者の輩出を実現、応援してまいります。

大会を総括し、ステージ出演者から以下のコメントがありました。

実行委員長 松尾 豊氏のコメント

(大会総評を話す実行委員長 松尾豊)

大会がグローバルになっていることを嬉しく思っています。

10億円の評価額が出た前回に比較すると、評価額が下がりましたが、マクロ経済の影響があります。実際には、レベルがとても上がってきていることを感じています。一方で、投資家がスタートアップ企業を見る目は厳しくなっていますので、自分達の強みを再度認識し、より強調したビジネスを計画する必要があります。

スタートアップの必要性の認識は高まっており、政策の要であり、また、高専への期待も高まっています。高専への追い風もありますし、先輩起業家は、事業を順調に伸ばしています。ぜひ日本経済をどんどん発展して欲しいです。

今はChatGPTといった、大規模言語モデルが注目されています。言語だけではなく、ロボットの基盤にもなっていくので、高専生の役割が益々大きくなります。

タレント/ソフトウェアエンジニア 池澤あやか さんのコメント

今回初めて参加しました。技術の大会だと思っていたら、それだけではなく、マーケット、発売時期などが、深く関与しており、複合的な大会でした。ぜひ、みなさんで切磋琢磨し、刺激しあって、起業していって欲しいと思います。

技術が世界を変えると信じています。高専生のみなさんに日本を引っ張っていってほしいです。ぜひ事業を成長させてください!

音楽クリエイター ヒャダイン さんのコメント

毎回、作品やプレゼンテーションの技術力にはびっくりしています。今回特に感じたのは、私たち大人の負の遺産を、高専生がなんとかしようとしていると感じました。

そのような皆さんの姿を見て、自分自身、私たちにもできることがあると、帯を締め直す機会となりました。

JDLAおよびDCON実行委員会は、今後もDCONの継続的な開催によりディープラーニングの産業活用を促進する若手人材の輩出を目指し、引き続き本コンテストの運営にあたってまいります。このため、第5回大会「DCON2024」の開催を決定しております。開催概要につきましては、DCON公式ホームページにて随時詳細をご案内いたします。高専生の今後のご活躍に、是非ご期待ください。

第4回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON2023)概要

◆ 概要:
高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです。

◆ 主催:
一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)

◆ 共催:
日本経済新聞社

◆ 運営:
DCON実行委員会

◆ 後援:
デジタル庁、文部科学省、経済産業省、農林水産省、国立研究開発法人産業技術総合研究所、一般社団法人全国高等専門学校連合会、NHK

◆ 特別協賛:
アイング株式会社、株式会社アクセスネット、ウエスタンデジタル、AGC株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社、DMG 森精機株式会社、トピー工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立物流(4月1日よりロジスティード株式会社)、株式会社丸井グループ

◆ 協賛:
株式会社MCJ、株式会社QUICK、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、第一工業製薬株式会社、株式会社ビーンズラボ

◆ 協力:
株式会社iSGS インベストメントワークス、株式会社ABEJA、WiL,LLC、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ、エッジテクノロジー株式会社、さくらインターネット株式会社、株式会社Shiftall、株式会社jig.jp、Spiral.AI株式会社、株式会社先端技術共創機構(ATAC)、株式会社ディープコア、ニューラルポケット株式会社、富士ソフト株式会社、フラー株式会社、株式会社ブレインパッド、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、株式会社フォトシンス、株式会社みらいスタジオ、株式会社Liaro、RABO, Inc.

◆資源提供協力:
株式会社ABEJA、株式会社MCJ、エヌビディア合同会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、FastLabel株式会社、株式会社フォリウム

◆審査員
【審査員】
川上 登福(株式会社先端技術共創機構(ATAC) 代表取締役)
佐藤 真希子(株式会社iSGS インベストメントワークス 取締役/代表パートナー)
仁木 勝雅(株式会社ディープコア 代表取締役社長)
松本 真尚(WiL, LLC 共同創業者/ジェネラル・パートナー)
山岸 広太郎(株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長)
【技術審査員】
尾形 哲也(早稲田大学 基幹理工学部表現工学科教授/産業技術総合研究所 人工知能研究センター 特定フェロー)
佐々木 雄一(Spiral.AI株式会社 CEO)
松尾 豊(東京大学大学院 工学系研究科 教授)

<DCON2023公式メディア>

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